「この月を見ててね」輝夜月が問いかけた幸福論とVRライブの実質性
お疲れ様です。じーえふです。
9月になりました。8月に関しては「あぢぃ〜あぢぃよボケナス」とか言いながらエアコンをガンガンにかけて秋の終わりぐらいの気温でバーチャルYouTuberさんの動画を見て過ごしたんですが、それでも全く風邪をひかなかったあたりバカの証明って感じがして最悪の気分です。「窓を開けてエアコンを一番低い温度にして動かすとフィルターの臭いが取れる」という情報が出回ってくれたおかげで気兼ねなくエアコンを扇風機代わりにできたのは最高でした。
ところで皆さん、「最高の夏」を過ごすことはできましたか?
輝夜月ちゃんのVRライブに参加した私は2018年の夏を間違いなく「最高の夏だった」と断言することができます。
流石にこの記事を開いてる皆さんは大人気バーチャルYouTuberであるところの「輝夜月」ちゃんを知らないなんてことはないかと思いますが、万が一彼女を知らない方に簡単な説明をさせて頂きますと可愛いので適当にググって動画見てください。もしくはさっさとこのページを閉じて社会生活に戻ってください。
2018年8月31日、cluster.というバーチャルプラットフォームにて初の試みとなる輝夜月のVRライブが開催されました。
cluster.のVR空間に建設された「Zepp VR」で行われた今回のイベントは、cluster.から入ることのできる「VR会場」と同時に、15にも及ぶ全国の映画館でライブビューイングとして生中継されました。毎日欠かさずバーチャル礼拝をしていたおかげでしょうか、奇跡的にVRチケットを手に入れた私は(チケット200枚しか無いらしいです)自宅から出ることなく輝夜月ちゃんのライブにバーチャル参加することができましたので、生き証人としてレポートしていきたいと思います。別に死者が出たわけではないんですけど。
こちらはZepp VRのエントランス。いかにも、というかあからさまと言っても良いほど「バーチャル」感のある白い空間に、Zepp VRへの入場口と輝夜月ちゃんからの注意書きが置かれています。しばらく待っていると、どこからともなく「ジャスティン・エビーバー」と「パブロッコリー・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ネポセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニタード ・ルイス・イ・ピカソ」の声が。
ちょいちょい顔がクソ汚くなるのでお馴染みの彼らがルナライブの前説を務めるようです。彼らからは「ライブビューイング会場では撮影・録画・及び飲食はしないこと」「VR会場は撮影と撮影した画像のシェア及び飲食は(自宅なので)自由だが、録画はしないこと」「VRを体験したあとに車の運転など正しい平衡感覚を必要とする行為はしないこと」などがアナウンスされました。
同時にZepp VRへの入り口が解放され、今回に限り「エビフライアバター」と化した参加者達が続々と会場へ入っていきます。
私も記念に一枚パシャり。会場は輝夜月ちゃんのアクセサリと同じ赤・青・黄のブロックやスピーカーで構築されています。会場の薄暗さが「開演前」の雰囲気を醸し出し、その場にいた全員があちらこたらに動き回っていたので「そわそわ感」まで伝わってきて「あぁ、これからライブが始まるんだ・・・」と強く実感しました。余談ですが右手に持っている水色のサイリウムはアバターにデフォルトで装着されており、VIVE等のVR機器で参加している人は自由に振り回すことができますが、ライブ中に輝夜月ちゃんが「黄色が好き!!!!」と叫んだ瞬間「推しの好きな色にサイリウムの色を合わせられないのはダメ」とcluster.のお問い合わせフォームに打ち込んで送信しました。
会場が一度暗転し、ついに輝夜月ちゃんが登場。「来る・・・"Beyond the Moon"が!!!」と身構えた瞬間、始まったのはラジオ体操。とりあえずその場で「ズコ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」と叫んでみましたが自宅なので普通に親に怒られました。
ラジオ体操でとりあえず良い汗をかいたあと、月ちゃんは一旦退場。マジで今の何だったんだ?と思いましたが正直「ラジオ体操」としか言いようがありません。ラジオ体操といえば夏休みに毎朝公園に集まってスタンプを集めたものですが、今思うと気が狂ってますよね。今の私が夏の朝に運動なんかしたらその時点で一日終了します。あと酒飲んで寝るだけです。
再び会場が暗転し、"オープニングムービー"が流れ始めます。
それは輝夜月ちゃんの"軌跡"でした。ここで涙腺をブチ壊された方も多いのではないでしょうか?ヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)を被ったまま号泣すると視界にモザイクがかかって何も見えなくなる上にHMDのスポンジに涙が染み込んでそこそこ最悪の事態になるので極力耐えましょう。もしとりあえずHMDを外して泣いたとしても、涙を拭いた瞬間に見えるのは酒の缶で埋め尽くされた汚ない机だったりして物凄い吸引力で現実に戻されたりするのでそれもやめましょう。対策としては机を綺麗にしておくといいです。
涙を必死で堪えて鼻周りの筋肉が若干痛くなってきた時、空中からミラーボールが。これスマブラのくす玉っぽい〜〜〜〜!!!とかくだらないことを考えていると、中から輝夜月ちゃんが堂々登場。お待ちかねの"Beyond the Moon"が流れ始めます。
輝夜月「あっあー マイクチェックマイクチェック!準備は」
私「オッケー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
輝夜月「できたら」
私「返事!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
輝夜月「自分はいつでも」
私「大丈夫でぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
輝夜月「返事は」
私「ハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜イ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
輝夜月「無理なら」
私「無理!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(無理ではない)」
輝夜月「待つのはあんまり」
私「得意じゃな〜〜〜〜〜い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「「Yeahhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
親「うるせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そりゃ自分の子供が一人でこんだけチンパンジーになってたら親も怒りますよね。でも仕方ないんです、ここまで来るとVRがどうとか関係無いんですよ。VR会場だろうがライブビューイング会場だろうが、私が今体験してるのは「ルナライブ」であることに変わりはないんです。とりあえずチンパンジーらしく威嚇行動を取って親を呆れさせることで事なきを得ました。
曲中で床がせりあがっていく演出も。ちょっとVRライブを活かしすぎじゃない?すごくない?「バーチャルってのはこう使うんだよ!!!!」と言われているようで心底震えました。バーチャルならなんでもあり、なんでもありなんです。「なんでもあり」を観客側が実感した瞬間にこそ、「VRライブ」は真に価値を持つんじゃないかと思います。ステージのギミックによって高度を上げていく輝夜月ちゃんに一瞬だけ紅白の小林幸子さんがダブったりもしましたが。
本当にあっという間の3分間。Beyond the Moonを歌い終え、軽いトークタイムに。
お馴染みの「起きてええええええええ!!!!!!!!」もしっかり披露。起きとるわ。なんなら興奮で眠れなくて午前4時にこの記事書いてんだよこっちは。好き。
「ねぇ、みんなは、幸せを感じる時ってどんな時?」
私は輝夜月ちゃんの太ももを眺めている時なのですが、そんな話題と共に次の楽曲へ。流れてきたのは椎名林檎の「幸福論」のカバー。
原曲はポップな印象のある「幸福論」ですが、ルナライブでは"Beyond the Moon"に通ずるロック・アレンジになっていました。椎名林檎ファンはたぶんここで全員成仏しかけたんじゃないかと思います。私も魂を現世に保つので必死でした。もし、もしこの瞬間に心臓発作で死んでも悔いはなかったです。HMD被ったまま部屋で泣きながら昇天してるのを発見されるのはマジで御免ですが。
ステージがそのまま浮かび上がり、会場を縦横無尽に駆け巡る輝夜月ちゃん。これには劇団四季もビックリでしょう。VR会場に来ている人々には当たり判定が存在しないので、みんな月ちゃんを追っかけて右往左往しておりました。これが現実のライブだったら会場のあちらこちらで殴り合いの喧嘩が発生しているはずです。
パソコンのスペックさえ十分であれば、VRライブは全ての人が"平等に"、かつ自由に楽しむことができます。トラッキングを利用してかなり高い位置でライブを見ている人もいましたが、わざわざその為にベースステーションの位置を下げたり椅子に登ったりしてんのかなと思うと可愛いですね。
「幸福論」が終わり、フリートークタイムへ。会場がピンク色に変わると同時に、月ちゃんはジャスティン・エビーバーに乗って登場します。
異常なデジャブに襲われたので記憶を辿ってみたのですが、これ完全にフジリュー版封神演義で四不象に乗ってる時の太公望ですね。
ここから先はごくごく個人的な感想なのですが、フリートークタイムで特に印象に残ったシーンを紹介させて頂きます。
「あっ○○さんだ!月にいつもリプライ飛ばしてくれる人、わかるよ、アイコンで」
これって非常にバーチャルだと思うんですよ。もし「実名では無い名前で」かつ「肉体とは違う姿」を用いるのをバーチャルだと定義するなら、私にとって最もバーチャルリアリティなプラットフォームは現状「Twitter」なんです。VRChatやcluster.よりよっぽど利用していますし、そこで生まれたコミュニティに対する生活の比重は現実のコミュニティより重いし(あくまで私の場合ですが)。輝夜月ちゃんはその姿の我々を「人間(お客さん)」として認識してるわけですね。
現実のアイドルのライブに行ったところで、「あ!○○さんだ!来てくれてる!」とは普通なりません。Twitterという場でバーチャルYouTuberさんとコミュニケーションができ、かつそのアイコンがアバターに組み込まれるからこその現象なんです。
「すごい!触れそう!触れるかな?・・・触れないね!」
これもまさにバーチャルならではの言葉です。良くも悪くも、私達は彼女に直接触ることはできません。VRライブでは移動も自由ですし、限りなく「近づく」ことはできます。またそれは「仕様」であり、近づきたい人は近づいていい。誰にも怒られることはないんです。しかしながら、どれだけ近づいても「触れること」だけは叶わない。例え触れられる位置に近づけたとしても、所詮当たり判定の無い私達は彼女の体を突き抜けるだけ。もしかしたら今後、まるで直接触っているかのような体験をできるデバイスが開発されるかもしれません。でもそれは電気信号によって再現された「幻」なんです。
バーチャルは、「100%現実と同じにはなり得ない」ことが前提としてありながら、少しずつ少しずつ現実に近づいて行ってる。それって、言い知れぬ儚さを孕んだ「あはれ(エモ)」だと思います。私は何言ってんですかね。
「Beyond the Moonの歌詞は、手伝ってもらったりもしたけど、ほとんど月が考えました」
これは本当に心の底から叫びそうになりました。Beyond the Moonが発表された当初から、ずっと「誰が作詞したのか」が気になっていました。サビに至るまでは月ちゃんらしい自由奔放な歌詞ですが、サビから突然「幸せとは?」というテーマに切り替わっているんです。
幸せな人
そうじゃない人
人はいつでも平等で
いつもあの子は幸せそうで
きっとあの子も泣いてる
辛いと思うことでも
きっと
幸せに変えていけるのだろう
なんか急にメンヘラ歌詞ツイートみたいな書き方になってしまって読者にも輝夜月ちゃんにも大変申し訳ないのですが、私は何度も何度も繰り返しBeyond the Moonを聴いて、いつもこのパートで考え込んでしまいます。彼女は常に天真爛漫で、元気で、弱みも見せない。最初のサビ終わりにもある通り、「バカな自分」をみんなに見せている印象があります。でもこの歌詞を書いたのが彼女なら、輝夜月ちゃんって、
誰よりも「幸福」について真剣に考えてるんじゃないでしょうか?
彼女の「幸福に対する価値観」の表現こそがバーチャルYouTuberとしての「輝夜月」そのものであり、そこに秘められた思想のほんの一部がBeyond the Moonの歌詞として滲み出ているような、そんな気がします。
まさに「幸福論」なんですよね。
彼女が椎名林檎の「幸福論」をカバーしたのも、それがBeyond the Moonを彷彿とさせるロックチューンになっていたのも、「みんなが幸せを感じる時」について問いかけたのも、ひょっとしたら、意味があるのかもしれません。全ては私の憶測ですが、また別の側面から「輝夜月」を好きになれました。
文章が生ゴミレベルでオタク臭くなってきたので続きに移ります。
トークの最中、突如彼女の背後に出現したのはまたしてもジャスティン・エビーバー。しかも何故かあり得ない速度で肥大化していきます。
海月ねうちゃんみたいになってますけど。
人類が巨人に支配されていた恐怖を思い出しそうになるまでデカくなったエビーバーは最終的に爆発。どういう演出なの?爆風に包まれた観客は視界を奪われ、少しの間を置いて見えて来たのは・・・
エビになった輝夜月ちゃん。どういう演出なの?もうエビを見すぎてお腹が減って来ました。ライブ終わったら近所の蕎麦屋で天せいろでも食べよっかなぁなんて思「あっあー マイクチェックマイクチェック!準備は」
私「オッケー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
親「うるせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
あまりにも秒速で怒られたもんでちょっと真顔になってしまいましたが、最後の最後にBeyond the Moonもう一発!もうなんか謎演出とか親とか人生とか最近肩こりが酷いとかジャ〇ーズ事務所の後継者が滝〇さんになりそうな話とかどうでもいい〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!輝夜月ちゃん最高〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!
会場にはドデカい花火が撒き散らされ、ボルテージは最高潮。会場の演出を含め、全てが「輝夜月」そのものでした。
「輝く夜の月の下で あなたを照らしたい この月を見ててね」
最後のBeyond the Moonが終わり、会場は突如として「月」へ。地面にブロックが散らばっているのを見ると、これは壁が砕けただけで我々は最初から「輝く夜の月」でライブを見ていたのかもしれません。青き地球を眺める我々に、宙に浮かぶ彼女からのメッセージとアナウンスが「ルナライブ」の終わりを知らせました。
「本日の公演はこれにて全て終了となります。忘れ物のないよう現実にお帰りください」
決して忘れられることができないものを手に入れて、私は現実への帰り道を歩いていきました。
余談
会場から外に出ると、真っ白だったエントランスは「星空」の仕様に。東京の夜景なのか、遠くに東京タワーが見えました。これはひょっとして東雲めぐちゃんへの私信なのかもしれません。もしくはオタクの考えすぎかもしれません。
ついでにバーチャル物販も出現。もちろんここでグッズが買えるわけではないですし、ライブビューイング会場のグッズは全て売り切れてしまったそうですが、本日9月1日の正午から通販が開始されます。Mika Pikazo先生監修のポップでハイセンスなグッズがたくさんありますので、チャンスがあるうちに購入しておきましょう!
https://www.sonymusicshop.jp/goods/KaguyaLuna/
長々となりましたが、ルナライブレポートは以上です。「VR」の特性を見事に活かしきった、素晴らしいイベントでした。会場がリアルタイムに変化する。演者が空を飛ぶ。エビが爆発する。VRライブの未来を見ると同時に、それを思考させないほど練り込まれた濃密な時間。また、「VRライブならでは」というところに目が行きがちですが、途中Beyond the Moonの歌詞について触れまくったように、「輝夜月のライブ」として十分に楽しむことができた、それほどのプレゼンスがそこにあったというところにも着目すべきかなと思います。
カグヤルナライブ
— 輝夜 月 / 8月31日ワンマンライブ🍤 (@_KaguyaLuna) August 31, 2018
どーだった!?
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あとでゆっくり読ませてーー!!!#カグヤルナライブ#ZeppVR
でツイートしてくれええええええ!!∠( 'ω')/
めっちゃ楽しかったァァァァァ!!!!!! pic.twitter.com/vYjGSIGFHU
そして、元々大好きだった輝夜月ちゃんを、今以上に好きになることができた。これをイベントとしての「成功」と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょう。疲れた寝るおやすみ。
輝夜月
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じーえふ